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マスクの構造と種類

着ぐるみマスクの基本構造・素材・視界の仕組み。

執筆: Reflex

着ぐるみマスクを分解すると、次の要素でできています。

  • シェル(外殻): 顔と頭の形を作る硬い殻。現在は主に3Dプリント(光造形レジン)で成形されます
  • 塗装面: 肌の色、チーク、リップなどをエアブラシ等で塗装した表面
  • 瞳(目の部分): 塗装やプリントでマスク本体に作り込まれた目。瞳から外が見えるわけではなく、視界は後述ののぞき穴で確保します
  • 内装: 頭にマスクを固定するための詰め物。基本的にスポンジで、高級な工房ではバイクヘルメットの内装のような作りになっていることもあります
  • 開口部: かぶるための開口。全頭面(バックルタイプ)・3/4頭面・ジッパータイプの3方式があり、近年は全頭面が主流です
  • ウィッグ: 髪。マスクと一体型になっているか、マスクと一緒に工房で作られます(ウィッグの基礎)

マスクは「かぶる帽子」というより「頭部を丸ごと覆うヘルメット」に近く、外寸は人間の頭よりかなり大きくなります。アニメキャラクターの頭身バランス(大きな頭と目)を再現するためで、完成品は幅・高さともに40cm前後になることもあります。

近年のマスクは、ほとんどが3Dプリント製(主にレジンの光造形)です。3Dデータから出力するため同じ形を再出力しやすく、造形の自由度も高い製法です。かつての定番だったFRP(繊維強化プラスチック)は、現在では日本の一部工房のみが手がける、非常に珍しい存在になりました。

どの素材でも表面はパテ処理と塗装で仕上げられるため、見た目の質感は塗装の腕によるところが大きいです。素材の違いが出るのはむしろ重さ・耐久性・修理のしやすさ・価格のほうで、重さはおおむね1〜3kgが目安。首や肩への負担に直結するので、発注前に確認しておきたいポイントです。

瞳はマスクに描き込まれた「絵」であり、瞳を通して外が見えるわけではありません。着用者は、まつげや眉毛の部分に開けられた「のぞき穴」を通して外を見ます。暗い色で塗装された部分に沿って小さな穴を開けるため、外からはほとんど目立ちません。また白目の部分は網状の素材(メッシュ)で塞がれており、外から内側が見えないようになっています。

いずれの方式でも視界は生身より大幅に狭く、足元と左右はほとんど見えないと考えてください。詳しくは視界・呼吸・熱の基礎知識へ。

なお近年は、外付けカメラの映像をマスク内のディスプレイに映して視界を確保する手法も存在しますが、採用例は非常に稀で、メジャーな方式ではありません。

マスク内部は密閉に近く、呼気の熱と湿気がこもります。空気が通るのはのぞき穴・白目のメッシュ部分・首まわりの隙間だけで、口や鼻に通気用の穴が開いているわけではありません。通気は構造的に限られています。小型ファンを内蔵できる工房もありますが、対応しているところは少なく、効果も限定的です。

通気性は快適さと熱中症リスクに直結する、発注時に確認しておきたい項目のひとつです。

マスクには内寸があり、頭が大きい人・髪のボリュームがある人は物理的に入らないことがあります。発注時には頭囲などの採寸データを提出し、工房側で内寸を調整してもらうのが一般的です(マスクの採寸)。

頭への固定は内装のスポンジが担っており、その厚みの足し引きである程度フィットを調整できます。なお、メガネをかけたまま被れることも多いですが、着脱時にメガネが曲がったり、マスクによっては着用できなかったりするため、コンタクトレンズの使用がおすすめです。

開閉方式には全頭面(バックルタイプ)・3/4頭面・ジッパータイプの3種類があり、近年の主流は全頭面です。バックル部分に鍵をつけられる工房も多くあります。

方式の違いは着脱のしやすさだけでなく、できることにも関わります。ウィッグの着脱や表情の変更ができるのは全頭面のみですが、全頭面でも対応していない工房は多いため、必要なら発注前に確認してください。実際の被り方の手順はマスクの被り方を参照してください。

塗装はマスクの印象を決める工程で、工房ごとの個性が最も出る部分です。肌は単色ではなく、チーク(頬の赤み)やグラデーションで立体感を出し、アイライン・リップ・眉といったメイクをキャラクターに合わせて描き込みます。最後につや消し〜半光沢のクリア層(トップコート)で塗装面を保護しますが、それでも塗装面はデリケートで、こすれや溶剤には弱いままです。扱い方はマスクのお手入れを参照してください。

同じ造形でも塗装次第で別人のような仕上がりになるため、工房選びの際は「その工房の塗装の作例」をよく見ることが大切です(工房の選び方)。